一般社団法人とめ青年会議所 2024年度 理事長所信
はじめに
「明るい豊かな社会」を志した青年たちは1949年、戦後の荒れたまちの中で「新日本の再建は我々青年の仕事である」と掲げ立ち上がりました。そして、とめ青年会議所は1970年に登米地域の「明るい豊かな社会」の実現を目指し設立し、以来54年にわたり「修練・奉仕・友情」の三信条を胸に、自己研鑽を重ね、地域の発展を目指しJC運動を展開してまいりました。創立から多くの先人達が時代に合わせ試行錯誤し紆余曲折あったことと思いますが、私たちが脈々と継承してきた【登米地域を良くしていきたい】という一本筋の入った想いが、私たちとめ青年会議所の根幹です。
戦後、食べるものも生活に必要なものも無く、多くの人が物質的な豊かさを求めました。しかし、人々が衣食住に困らなくなっている現代の日本では、個人がそれぞれの幸せを見つけ追求していくようになりました。物質的な豊かさよりも精神的な豊かさや生活の質の向上を追求し、自らの意志と責任に基づいて選択を行い多様な自己実現を重視する価値観が広まっています。
とめ青年会議所は多岐にわたって活動してきました。その中で真剣さが故にぶつかり合うことや、個人の頑張りに支えられて組織が継続できたことも数多くあります。しかしながら時代が変わり、人が変わり、価値観も大いに変容しています。そして事業のやり方、組織の在り方も変革していく必要があります。「明るい豊かな社会の実現」を掲げる私たちは自らの在り方と組織を変え、今を生きる人たちにフォーカスをあてた幸せの形を模索しなければなりません。
今までは主に地域を対象と考え事業を構築してきましたが、これからは支えてくれる家族と社業も含めて、会員を取り巻く関係者に喜んでもらえる組織の構築に努める必要があります。まちのために行動しても、自らを犠牲にしてしまっては意味がなく、会員一人ひとりもまちの一部なのです。会員と家族、そして関わる人が満たされる運動と事業を【登米地域を良くしていきたい】を土台として構築することで、真に持続可能な組織・登米市が形成されていくと考えます。とめ青年会議所は、今年で55周年を迎えます。先人達から受け継いできたひとすじの想いを胸に、ひと・まち、そして自らを幸福にする運動を共に創り上げてまいりましょう。
持続可能なお祭りが登米市の希望となる
400余年の歴史をもつ登米市佐沼夏祭りへの参画は、とめ青年会議所としてとても大きな意味を持つ事業です。お祭りには様々な社会課題を解決に導く大きな「力」があります。地域の商工業・ひとが一体となって生み出される経済活性化、観光面として市外からの人を呼び込む力、そして参加者としてお祭りに参画することで地域愛の醸成にもつながります。我々は登米市に根差す団体として、地域の社会課題を解決に導く運動を行う視点を大事にしながら、社会の課題を解決することで持続可能な地域を創っていかなくてはなりません。また、持続可能なお祭りにしていくには、ひと、物資、そして資金面においても検討していかなくてはなりません。昨年、4年ぶりに開催された登米市神輿祭は、コロナ禍以前より観客も多く集まり盛会に終わりました。しかし残念ながら前夜祭やよさこい祭りが無くなってしまうなどお祭り自体の規模は縮小しております。今までは大会運営に大勢の方々が携わってお祭りを運営できていましたが、人が減りつづける現代において以前と同じようなやり方ではどうしても無理が生じ事業縮小につながってしまいます。その為には登米市佐沼夏祭りが登米市を代表するお祭りとして、多くの市民にとって心のよりどころとなり、子供達の笑顔を紡いでいくものとしていかなければなりません。
真に持続可能なお祭り事業縮小することで継続を図ることではなく、仕組みと組織を変え時代に合わせた運営を模索し、500年続くお祭りを目指し、5年後10年後の子供達に「どんなお祭りを残してあげられるのか?」を考え、笑顔と郷土愛を呼び起こし、未来を照らす後世に残るお祭りにしていく必要があります。
組織の根幹である会員拡大
青年会議所運動の理解者を拡大し続けることは、組織の根幹であり、会員一丸となって取り組まなければならないもっとも重要な課題の一つです。登米市の未来を担う私達は友情の輪を広げ、このまちに根差し生活する仲間と将来を語り合い、持続可能なまちとして次世代に継承していく必要があります。会員拡大に必要なことは、青年会議所の魅力を自らが率先して伝えられること、そして会員一丸となって組織として取り組むために、情報共有を行うことが肝要です。仲間になって欲しい人のリストアップを全員で行い、会員候補者と交流を深め継続的に連絡を取り、会員候補者に興味をもっていただいた際には機を逃さず、礼節を弁え登米市への情熱を持って青年会議所の魅力をお伝えします。縁を繋いでいただいた後は、入会に関わらず同じまちで生活する同世代の仲間として交流を深め、友情の輪を広げ続けてまいります。
そして、私達が青年経済人として人格を磨くことでより魅力的な組織となることが、会員拡大にとって重要です。一流のプロスポーツ選手は日頃の栄養管理や、口に入れる食材まで気を使い自身の職務を全うしています。私達も一流の青年経済人、そして支えてくれる家族と豊かな生活を送るために、普段からの生活習慣を見直し自分を律する心をもって関わってくれる人たちと良好な関係を築いて参りましょう。また、私たちの活動は輩出してくれている社業あってのものであることを忘れてはなりません。青年会議所が会員に提供できる学びにはリーダーシップの開発、事業構築の考え方、組織のあり方、礼儀作法などがあります。青年経済人として更なる学びの場を提供し社業から必要とされる組織として、会員個人の資質を向上させてまいります。そうして一人ひとりが十全な気力と知力をもって社業と青年会議所運動に全力で取り組むことで、個人の魅力が溢れる組織としてまいります。
組織としての魅力を向上し運動を伝播する
発足以来、とめ青年会議所は地域にニーズのある事業を展開してきました。佐沼青年会議所からとめ青年会議所に変わり、少しずつですが我々の認知度も向上しています。我々は新たな時代を見据え組織としての魅力向上と全力で登米市の為に活動することで、更なる飛躍の礎を構築していく必要があります。
人の能力は環境により左右されると言われており、整理・整頓された部屋での作業は散らかった部屋よりも、生産性の向上がみられました。時間は有限である以上、可能な限り無駄を省いたタイムマネジメントを行っていく必要があります。まずは私達の根底にある会議運営を円滑に行うために、IT機器を活用して効率化を実現していかなければなりません。そして、事業構築する際に各委員会の会議がより良いものとなるよう、整理・整頓・清潔を常日頃から心掛け、事業構築に集中できる環境を整えます。私達青年会議所は単年度制であるからこそ、それぞれの職務に全力で集中し一点突破できる環境を整えることが組織として必要です。
次世代を担う子供達の笑顔なくして、明るい豊かなまちは成し得ません。子供達の笑い声が響き、家族が過ごしやすい登米市になるべく、子育て世代当事者である私たちが地域の実情を調査し、ニーズを的確に捉えた事業を展開してまいります。また、子供たちを取り巻く環境も少子化や家庭環境の変化、更には天候なども影響し社会性を育む機会が減少しています。私達はこれら課題を契機と捉え率先して解決策を打ち出すことで、登米市の新たな魅力を引き出してまいります。
また、コロナをきっかけに多くのイベントが規模の縮小や事業の中止を決定しています。様々な要因があると推察できますが、私たちはこれを悲壮的に捉えず、新たな機会であると認識し今の時代に沿った事業を構築いたします。現代に合わせた、胸がわくわくするような非日常の体験は、子供達に驚きと感動を与え好奇心を刺激し、思わず笑顔にさせてくれます。目を閉じれば瞼の裏に映る風景、それは子供達の記憶に残る故郷となって、必ず心の拠り所となってくれるでしょう。
55年の節目を迎えるとめ青年会議所へ
1970年に発足した佐沼青年会議所は 現在とめ青年会議所として明るい豊かな社会をめざし運動を続け、今年度で55年目を迎えます。先人達は、いつの時代においても変化に対応しながら社会の課題を解決すべく、様々な運動を展開してきました。私達は市民からのニーズを改めて調査・分析し、現在までの運動を振り返るなかで新たな課題に本気で向き合い、このまちの未来を発展させてまいります。
むすびに
私は2015年に入会し、当時26歳でただただ生意気に自分勝手なふるまいをし、先輩諸兄からお叱りも、人としての在り方も、時にはお褒めの言葉もいただき、とめ青年会議所で多くの学びを得ることができました。この度、55年を迎える年の理事長を務めさせていただくにあたり多くの方のご助力があって成り立つものだと、改めて実感しております。
【登米地域を良くしていきたい】。先輩諸兄が紡いできた歴史と伝統を継承し、次世代へとこの想いを引き継いでいく。この想いを胸に集まってくれた皆様と登米地域に住む人たちの幸福な未来を信じ、ひたむきに登米市のために共に進んでまいりましょう。
<基本理念>
とめ、ひとすじ
~ひと良し、まち良し、自分良し~
<基本計画>
持続可能な組織と地域を作る
<事業計画>
青年会議所運動の発信・ブランディング
子供達の笑顔を創造する青少年育成事業
子供達の思い出を創造するイルミネーション事業
登米市佐沼夏祭り事業への参画
登米市神輿祭の企画・運営・実行委員会組織の設立
友情の輪を広げる会員の拡大
会員の研修、会員相互の交流
会員、家族、OB・OGとの交流